甲南大学物語

ギターではＦの壁とかいろいろあって、敷居が高くてかなり苦労した。

ところが、ドラムは違った。

ドラムをはじめるにあたって、近所の先輩がドラムをやっていると聞いて、数年ぶりにその先輩の自宅を訪問した。

ドラムをやりたい

と伝えると、部屋にあったドラム練習台を使った、即席ドラム講座を開いてくれた。

楽器との最初の出会いって大切だ。そして先生も。

今から思えば、この先輩は神だった。

突然の訪問にも関わらず、お手本プレイをひと通りしてくれたあとに、僕にスティックを握らせ、エイトビートを教えてくれた。

忘れらない先輩の言葉がある。

ドラムはね…　
エイトビートが叩けたら、基本どんな曲でも叩くことができるんだよ。

うん、この言葉は正しいと思う。

いや、そりゃシャッフルとか16ビートとか、８ビート以外のドラムパターンもたくさんある。

でも、８ビートが完璧に叩けたら、邦楽でも洋楽でも、ロックやポップスの８割は対応することができると思う。

先輩は８ビートを分解して、

バスドラム

スネア

ハイハット

ドンタン　ドンタン

の一番簡単なパターンをゆっくりのリズムで教えてくれた。

そして、ギターではあれだけの挫折感を味わった僕だったけど、なんと

エイトビートは15分でマスターしてしまったのだ。

ドラムたのし〜〜〜

と思ったのは当然のことである。

有頂天

な気持ちだったと思う。

まあ、この時の僕は、ドラムの何たるかを
その奥深さを何も知らなかったからね。

（つづく）



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バンドでは本当はギターをやりたかった。

ひとつには、３つ上の兄貴が高校でバンドをやっていて、自宅でエレキギターを練習している姿を見たことがあるから。

そしてもう一つは、中学時代に一番好きだったバンドがヴァン・ヘイレンで、中３の時には一人で初めて行ったコンサートが大阪城ホールのヴァン・ヘイレンのOU８１２ツアーで、俺にエディーみたいなギター・ヒーローになりて〜

って、思ってたから。

だけど、結局は俺はドラムをすることになってしまった。

理由は二つある。

１
当時Xがデビューして「YOSHIKIかっこい〜」ってなったから。

２
俺のギターがヘタすぎたから…

である。

とにかくなんの因果か、俺はドラムをすることになったが、このことは後から振り返ってみると、俺の人生にとってプラスに働いたように思う。

（つづく）


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この物語は、僕が甲南大学で過ごした４年間をありのままに語る物語だ。

もう卒業してから20年近い時間が過ぎたが、今でもあの頃の事は鮮明に覚えている。

ずいぶんとめちゃくちゃな四年間だったけど、本当におもしろおかしく過ごした。

誰が読むか、誰も読まないか、そんなことはわからないけど、とにかく書こうと思う。

甲南大学のことについて語る前に、その前段階としては、僕の高校時代のことから書く。


■フリーダムな高校

僕は生まれも育ちも兵庫県の尼崎だ。

高校は自宅から最も近く、そして当時は尼崎では一番頭の良かった、尼崎K高校に通っていた。

公立高校であるにも関わらず、私服もOKという、ずいぶんとユニークな高校だった。

高校時代の三年間は本当にまるで夢のような三年間だった。

何も考えずに、ただその日、その日を全力で、そしてふざけて生きていたように思う。

高校の三年間はとにかくバンドに夢中だった。

中学の時から高校に入ったら軽音楽部に入ってバンドを結成すると決めていた。

この軽音楽部では三年の時には部長も勤めて、やっていたバンドも校内一の人気バンドだったし、本当に楽しかった。

（つづく）


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